2011年特別企画展Ⅰ「花卉草蟲(かき そうちゅう)―花と虫で綴る朝鮮美術展」7月16日(土)~8月28日(日)
 

花卉草虫図(双幅のうち)
朝鮮時代16世紀
高麗美術館蔵

開催にあたって

花卉草虫(かきそうちゅう)の図とは、花や草、虫、小動物など日常的でうつろいやすい自然の情景を捉えたものであり、単なる写生ではなく、モチーフに寓意を忍ばせた吉祥画でもあります。このたびは、高麗美術館所蔵の草虫図を中心に、朝鮮時代中期から後期の絵画と工芸品。そして、それらと関係性が認められる中国の絵画も展示します。また、「秋草手(あきくさで)」と称される青花白磁の名品や螺鈿漆器の魅力と東アジアとの関係に迫ります。

開館情報

 ■会 期    2011年7月16日(土)~8月28日(日)
 ■開館時間   午前10時~午後5時  ※入館は午後4時30分まで
 ■休館日   月曜日、祝日と重なる場合は開館し、翌日休館。  
 ■入館料   一般800円、大高生500円、中学生以下無料

 ※障害者手帳をお持ちのご本人と付添いの方1名まで無料。
 ※65才以上の方は一般料金より2割引します。(年齢の確認できるものをご提示ください)
 ※( )内は20名以上の団体料金。なお、事前申込にて展示解説も承っております。
  詳しくは高麗美術館(電話075-491-1192)まで。

 ■主な出展品  ・花卉草虫図 双幅 朝鮮時代16世紀 高麗美術館蔵
 ・鼠と瓜図、蟹と蕪図 朝鮮時代15~16世紀 高麗美術館蔵
 ・青花草花文壺 朝鮮時代18世紀 高麗美術館蔵
 ・黒漆塗螺鈿葡萄栗鼠草虫図函 朝鮮時代17~18世紀 個人蔵 
 ・葡萄図≪正祖大王筆≫第22代朝鮮国王李祘(イ・サン)朝鮮時代18世紀後半 個人蔵
ほか
 ■協力  京都工芸繊維大学美術工芸資料館、京都国立博物館、日本民藝館、福岡市美術館、頂妙寺(京都市)、本山寺(高槻市)ほか
展覧助成:公益財団法人 花王芸術・科学財団
図録助成:韓国国立中央博物館

Flowers&Insects
From Korean Traditional fine arts
화훼초충-꽃과 벌레가 꾸미는 조선미술

高麗美術館で「美術の虫」になろう!미술 벌레가 되자!
高麗美術館の所蔵品はすべて日本国内で、収集された来歴を持ち、また出品作品はすべて日本に伝わっていたものばかりです。日本は古来、舶来美術を大切に扱い、自国文化の一部として守り抜いてきた歴史持っております。そうした日本文化もあり様は、言うまでもなく、異国文化との関わりによって構築されたものです。
朝鮮時代の絵画は、はじめのころは中国絵画の伝統に学び、筆意を確かめ、その精神性に迫りました。その後次第に、その深遠な構成や表面的な装飾性を削ぎ落とし、朝鮮独自の境地を追求するように展開していきます。そうした東アジアの伝統的な思想、哲学に裏打ちされた朝鮮時代の草虫図の有り様を迫るとともに、日本画家・伊藤若冲(1716~1800年)の升目描(ますめがき)との関わりが注目される紙織画や現在放映中のテレビドラマでもお馴染の第22代朝鮮国王・正祖(チョンジョ 李祘 イ サン1752~1800年)が自ら筆を執った墨の葡萄図、焼鏝(やきごて)を巧みに動かして紙面を焦がす烙画(らくが)など、数々の魅力あふれる朝鮮絵画の世界を紹介します。
朝鮮と日本との隣国関係はこれまでと同じく、これからも続いていきます。隣国の偉大な先人達が遺していった作品と、その価値を大いに尊重し、自国に文化に取り入れてきたという日本の歴史に学ぶ機会として、身近なジャンルに焦点を当てました。
高麗美術館という空間で朝鮮時代という時空に花開いた美の萌芽を確認し、その身近な美点を感じていただければ、幸いです。



草虫図 明時代 個人蔵


 


蓮紙織画 朝鮮時代18世紀 頂妙寺(京都)蔵


青花野草文角鉢 朝鮮時代18世紀 京都国立博物館蔵 (笠川正誠コレクション)


 



黒漆塗螺鈿葡萄栗鼠草虫文函 朝鮮時代17~18世紀 個人蔵


 


葡萄図 正祖大王筆(第22代朝鮮国王李祘 イサン)朝鮮時代18世紀後半 個人蔵