1995年度 高麗美術館研究講座 「中世・近世の日本と朝鮮」
本年度は「中世・近世の日本と朝鮮」に焦点をあて、東アジア諸国との関わりのなかで朝鮮の美術・文化をとらえる試みとする予定です。

 講座名称   第54回 高麗美術館研究講座
 タイトル   「茶会記に見る朝鮮陶磁の受容」
 講  師   谷 晃 先生 (野村美術館学芸部長)
 日  時  1995年5月27日(土)/午後2時~3時30分
 会  場  佛教大学四条センター
 京都市下京区四条烏丸 京都三井ビルディング4階
 ℡:075-231-8004
  受講料  受講料:1,000円 高麗美術館会員はご招待
 内  容  茶会記はそれに参加した人々、使用された茶具、出された食事など多くの情報を我々にも  たらせてくれます。その中から朝鮮陶磁の記述を取り出し、桃山時代以降日本においてどのよ うに朝鮮陶磁が受容されたかを考えてみたい。

 ※講師肩書は開催当時のものです。


 講座名称   第55回 高麗美術館研究講座
 タイトル   「日本出土の朝鮮陶磁」
 講  師   引原 茂治 先生 (京都埋蔵文化財調査センター主任)
 日  時  1995年8月26日(土)/午後2時~3時30分
 会  場  佛教大学四条センター
 京都市下京区四条烏丸 京都三井ビルディング4階
 ℡:075-231-8004
  受講料  受講料:1,000円 高麗美術館会員はご招待
 内  容  近年、日本の遺跡から出土する朝鮮半島の陶磁器が注目されている。量的には決して多い とはいえないが、朝鮮半島と日本の関係を示す資料としての価値は大きい。これまでの伝世  品による考え方に、再考を促すものもある。このような、日本出土の朝鮮半島の陶磁器をめぐ る様々な問題について考えてみたい。

 ※講師肩書は開催当時のものです。


 講座名称   第56回 高麗美術館研究講座
 タイトル   「絵画に見る中国の茶・朝鮮の茶」
 講  師   古原 宏伸 先生 (奈良大学教授)
 日  時  1995年11月25日(土)/午後2時~3時30分
 会  場  佛教大学四条センター
 京都市下京区四条烏丸 京都三井ビルディング4階
 ℡:075-231-8004
  受講料  受講料:1,000円 高麗美術館会員はご招待
 内  容  中国における喫茶の歴史は、3世紀魏の時代に華北地方に流行し、8世紀唐代に作法、風 習が完成し、11世紀宋代に洗練の度は頂点に達した。その間に王侯貴族ら僧侶、士大夫へそ の愛好者の層は展開したが、一般民衆の底辺にまで拡大するのは、17世紀清朝になってから である。この間、14世紀明の太祖による禁止令が下されて、抹茶の風は劇的な廃絶にあい、  以後現代まで煎茶一色となった。銀閣寺に代表される日本の東山文化始め、今日までも抹茶 を楽しむ巨大な人工を育てている日本とは、極端な対照を示している。
   ただし絵画の中には明代以後にも抹茶の道具が描かれている。不思議なことにそれらの画 はほとんど偽物か、道具の意味がわからぬものである。また茶事の光景は決して職業画家は 描かず、知識階級出身の文人画家の制作に限られている。
   朝鮮でも煎茶が抹茶に替わるのは、中国とほぼ同時期、というよりも中国の影響を受けて  のことである。しかし、中国で起こった偽物の混乱や、画家の身分の対立による争いは認めら れない。宮中茶礼や契会図など、中国、日本には少ない記録が確実に伝世しているのが、特 長の一つである。茶事を描いた朝鮮絵画は約60点が伝えられている。
   1世紀漢代に喫茶の風の発生した中国を中心に、朝鮮、日本における展開の相違について 考えてみたい。

 ※講師肩書は開催当時のものです。


 講座名称   第57回 高麗美術館研究講座
 タイトル   「高麗での茶のもてなし」
 講  師   金 巴 望 (高麗美術館研究室長)
 日  時  1996年2月24日(土)/午後2時~3時30分
 会  場  佛教大学四条センター
 京都市下京区四条烏丸 京都三井ビルディング4階
 ℡:075-231-8004
  受講料  受講料:1,000円 高麗美術館会員はご招待
 内  容  高麗王朝(918~1392)の寺院では、国王を迎えてのもてなしに、茶亭を設けて華侈を競っ  ていた。当時の高麗は仏教王国であったことから、なかでも寺院での茶亭の豪華さは目を見  張るものがあったであろう。このたびは、その豪華さを競う原初がどこにあったのか、ということ を中心に、高麗での茶のもてなしについて、話しを進めたい。

 ※講師肩書は開催当時のものです。