龍虎図 (りゅうこず)
 


龍虎図 (りゅうこず) 朝鮮時代 16世紀末期 絹本墨画淡彩 李楨 筆

 16世紀末に図画書の画員として活躍した李楨(イ・ジョン)の作品。李楨は画員の家系に生まれ、5歳で画才をあらわし、10歳にして絵を大成させた人物である。しかし依頼されても揮毫することはなく、当時でさえ世に伝わるものはわずかであった。脱俗不凡で仏教にも深い理解があったが、わずか30歳の若さで夭折した。
「懶翁」の落款と「懶翁」「神閑意□」の朱文方印があり、現存作品の少ない李楨の作品として貴重である。
当館蔵となる以前の伝来は不詳であるが、徳川幕府の御用絵師だった狩野探幽(1602~1674)が目利を乞われ、岩国藩吉川家所伝の懶翁の落款を持つ龍虎図に接し、書面を残している。そこには南宋の陳容(所翁)と一類の画家であると記されている。