2011年春季コレクション名品展「朝鮮のかわいい いれものたち展」4月2日(土)~7月10日(日)
 

黒漆塗螺鈿蓮池水禽文箱 19世紀

開催にあたって

木や土などの自然素材で道具を生み出すという知恵は、人の歴史とともにあり、その中で作られた「いれもの」は、実生活の必需品となっています。朝鮮の家屋には押し入れがないため、服飾類を保管する箱などの調度品が発達し、室内を整え、より快適に過ごすための工夫がなされました。また、朝鮮の寒冷な気候により発達した発酵食品を貯蔵するための甕(かめ)、調味料や薬味を入れる壺は欠かせないものでした。用途に応じた様々な形や材質がみられ、機能的でありながら、部屋のしつらえにもあわせた装飾によって調和が保たれています。使い手の好みが反映され、大切に使い込まれたそれらには、ものだけでなく、人の想いまでそっとしまわれたかのようです。 本展では、男性の文房具入れや女性が裁縫道具を入れた針箱、また野遊の際に使われた水筒や饌盒(せんごう)など朝鮮の人々が愛用した「いれもの」が一堂に会します。日々の暮らしに親しまれた、多彩でかわいい「いれもの」の魅力をお楽しみください。

開館情報

 ■会 期    2011年4月2日(土)~7月10日(日)
 ■開館時間   午前10時~午後5時  ※入館は午後4時30分まで
 ■休館日   月曜日  
 ■入館料   一般500円、大高生400円、中学生以下無料

 ※障害者手帳をお持ちのご本人と付添いの方1名まで無料。
 ※65才以上の方は一般料金より2割引します。(年齢の確認できるものをご提示ください)
 ※( )内は20名以上の団体料金。なお、事前申込にて展示解説も承っております。
  詳しくは高麗美術館(電話075-491-1192)まで。

 ■主な出展品
 ・黒漆塗螺鈿蓮池文函 朝鮮時代末期
 ・青磁象嵌菊花文盒子 高麗時代12世紀後半
 ・青花吉祥文角瓶 朝鮮時代19世紀
 ・紙製蝶文裁縫箱 朝鮮時代19世紀
 ・竹製長生文水筒 朝鮮時代19世紀   ほか
 ■関連イベント  《その1》ワークショップ「韓紙(ハンジ)でかわいい いれものを作ろう」
 《その2》参加型企画「あなたなら何をいれますか?」



関連イベント① ワークショップ「韓紙でかわいい いれものを作ろう」

韓紙であなただけの色彩豊かな筆箱を作りませんか。
展覧会の解説とともにご覧いただけます。

◆日  時: 5月21日(土)、6月18日

        いずれも13:00~16:00

◆講  師:申英姫(シン・ヨンヒ、韓紙工芸家)
◆定  員:20名

◆参加費:3,500円(材料費、入館料込み)

◆持ち物:エプロン、はさみ、ハンドタオル(糊がついてもよいもの)、持ち帰り用の袋
◆申  込:事前申込制。申し込み、お問い合わせは「高麗美術館研究所075-494-2238」
ただし、定員に達し次第、締め切ります。



関連イベント② 参加型企画「あなたなら何を入れますか?」

―使うことをイメージして、鑑賞の幅を広げてみませんか

展示品のうち、お好きないれものをひとつ選んで、何を入れるかあなたのアイデアをご提案ください。

創意にあふれた優秀作の方にはかわいい箱をプレゼント☆
さらに、ご応募の皆様のなかから抽選で美術館のオリジナルグッズを進呈いたします。

日時:展覧会会期中
会場:高麗美術館展示室内


主な出品紹介

黒漆塗螺鈿蓮池水禽文箱(くろうるしぬりらでんれんちすいきんもんはこ)19世紀
高麗美術館蔵
 蓮の咲くなか、仲むつまじい鳥のつがいが表されています。水辺のゆらめく波の柔らかな様子を菱形と細い貝を使い分けて表現し、幾何学模様の縁取りでくっきりと浮かび上がらせています。中は朱漆で塗られ丁寧に処理されています。貝の配列は規則性がありながらも、全体にあたたかみが伝わり、このような穏やかな自然をモチーフとした風景によって女性の心を和ませていたことがうかがえます。



木製八角形菓子箱(もくせいはちかっけいかしばこ)18-19世紀
高麗美術館蔵
 朝鮮古陶磁の神様と称される浅川伯教(あさかわのりたか:1884-1964)の長女・鈴木牧栄氏から友人豊島愛子氏への引越しのお餞別の箱で、その際「お茶のときの食籠に」と言われたそうです。その後、愛子氏の夫である故豊島清氏が傷んだ部分に漆を塗り直し、縁があり高麗美術館に寄贈いただきました。
伯教は1913年に朝鮮に渡り、生活品として作られてきた白磁に価値を見出し、朝鮮陶磁史の研究に情熱を傾けました。その後兄を慕って朝鮮に来た弟の巧(たくみ)は朝鮮の風俗にとけこみ、兄弟ともに朝鮮の人々に心から愛された希有な日本人です。
八角形の縁はやわらかな丸みを帯び、丁寧な作ゆきをみせており、花模様の金具で愛らしさを添えています。



竹製十長生文水筒(たけせいじっちょうせいもんすいとう)19世紀
高麗美術館蔵
朝鮮時代、人々は季節に応じて野や山へ出かけ、花見や紅葉などを楽しみ、自然に親しみました。その野遊の際には必ず饌盒(せんごう)やパガジ(携帯用の器)、水筒などの飲食器を携帯しました。