1996年度 高麗美術館研究講座 「高麗・李朝やきもの講座」①
日本に根強く愛好されている高麗と李朝のやきもの講座を本年度より12回にわたって開講いたします。これまでとは違った新しい研究の成果をふまえつつ、やきものの魅力にふれたいと考えております。

 講座名称   第58回 高麗美術館研究講座
 タイトル   「珠玉の高麗陶磁」
 講  師   肥塚 良三 先生 (大阪市立東洋陶磁美術館学芸課長)
 日  時  1996年5月25日(土)/午後2時~3時30分
 会  場  佛教大学四条センター
 京都市下京区四条烏丸 京都三井ビルディング4階
 ℡:075-231-8004
  受講料  受講料:1,000円 高麗美術館会員はご招待
 内  容  高麗時代(918~1392)は、宋・金・元・明と続く歴代の中国王朝から政治・経済など多くの面 で強く影響を受けながらも独自の様々な芸術・文化の華を咲かせた時代で、陶芸もその一つ  といえる。
   1123年(宣和5年)、中国の国使一行に随行した徐競は、帰国後知り得た見聞(国情、風俗  等々)に図誌を添えて報告書(これを『宣和奉使高麗図経』といい、略して「高麗図経」と一般  的にいう)を時の皇帝・徽宗に献上している。
   同著の中で高麗陶磁について、“陶器、色ノ貴キモノ、麗人之ヲ翡色ト謂フ”という有名な一 節があり、さらに、別項では当時の人々が青磁を金・銀以上に貴重視している様子も記されて いる。また、12世紀中頃には、高麗が独自に開発及び改良したと言って過言でない象嵌青磁  の誕生をみるなど、同期以降の高麗陶磁の様相は、多種多様に展開する事になる。
   本講では、視点を変えて壺・瓶・水注・香炉・枕など寸法の大きな作品についてはそのまま  縮小した小品と、油壺・盒子・水滴・印など化粧道具をはじめとする本来的かつ機能的、利用  上などで小形の方が便利が良いといった作品に焦点をあてて、その中から高麗陶磁のもつ  様々な特質を探ろうとするものである。

 ※講師肩書は開催当時のものです。


 講座名称   第59回 高麗美術館研究講座
 タイトル   「朝鮮の焼きものにみる美意識」
 講  師   金 巴 望 (高麗美術館研究室長)
 日  時  1996年8月24日(土)/午後2時~3時30分
 会  場  佛教大学四条センター
 京都市下京区四条烏丸 京都三井ビルディング4階
 ℡:075-231-8004
  受講料  受講料:1,000円 高麗美術館会員はご招待
 内  容  ここに一つの茶碗があるとする。茶碗は茶を飲むための実用品であるが、これは果たして  単なる道具なのか、あるいは美術品なのか?人はどこでその評価を定めるのであろうか。
   朝鮮の焼きものを通して、日本人の美意識、あるいは焼きものを見る眼について考えたい。

 ※講師肩書は開催当時のものです。


 講座名称   第60回 高麗美術館研究講座
 タイトル   「高麗象嵌青磁の世界」
 講  師   尹 龍 二 先生 (韓国・圓光大学教授)
 日  時  1996年11月30日(土)/午後2時~3時30分
 会  場  佛教大学四条センター
 京都市下京区四条烏丸 京都三井ビルディング4階
 ℡:075-231-8004
  受講料  受講料:1,000円 高麗美術館会員はご招待
 内  容  高麗象嵌青磁は、澄んだ釉色と流麗な曲線と形態、こぢんまりとした清潔な紋様の美しさゆ え、長い間多くの人々から愛されてきた。
   高麗象嵌青磁に見られる色彩と紋様、そして形態は高麗時代の人々の人生と夢、そして美 しさが込められた世界である。それゆえ、とたえ器物にすぎなくても無限な価値を持つことにな るのである。

 ※講師肩書は開催当時のものです。


 講座名称   第61回 高麗美術館研究講座
 タイトル   「青磁の焼き物について」
 講  師   岩田 正比古 先生 (陶芸作家)
 日  時  1997年2月22日(土)/午後2時~3時30分
 会  場  佛教大学四条センター
 京都市下京区四条烏丸 京都三井ビルディング4階
 ℡:075-231-8004
  受講料  受講料:1,000円 高麗美術館会員はご招待
 内  容  青磁は淡青色の美しい色の焼き物で、古くから高貴なものとして多くの人々に愛されてきま した。その初めは、中国の7世紀の唐代より見られるようになり、明・清代と発展して現代のも  のへと展開されていきます。青磁色が高貴な色調である為に器形の洗練された象徴的な造形 物が多く焼かれました。素晴らしい青磁の焼き物は近隣の諸国に大きな影響を与えています。 特に朝鮮においては高麗青磁が生まれ、象嵌技術と青磁釉により優れた作品が造られまし  た。この講座では現代において青磁の焼き物を造るにあたり、制作上の諸問題を考えてみた いと思います。

 ※講師肩書は開催当時のものです。