2007年度 高麗美術館研究講座 「朝鮮通信使」②
監修:仲尾 宏(京都造形芸術大学客員教授)
文禄・慶長の役(1592~1598)により断絶していた日本と朝鮮との国交が回復することとなった江戸時代、1607年に、修好の役を担い朝鮮通信使一行は来日しました。その400年記念となる今年は、朝鮮通信使をテーマとした講座を開催します。
当時の日本の人々は、第一級の知識・技能を備えた通信使一行とこぞって交流をしようとし、実際その交流は朝廷、幕府をはじめ民衆にいたるまで広く行われました。
この度の講座では、朝鮮通信使と当時の日本の人々との交流に焦点を当て、これからの未来に向けて、善隣友好のあり方に思いを馳せる良い機会となることを願っています。


 講座名称   第102回 高麗美術館研究講座
 タイトル   「朝鮮国からみた朝鮮通信使」
 講  師   姜 在 彦 先生 (元花園大学教授)
 日  時  2007年5月26日(土)/午後1時~2時30分
 会  場  佛教大学四条センター
 京都市下京区四条烏丸 京都三井ビルディング4階
 ℡:075-231-8004
  受講料  受講料:1,000円 高麗美術館会員はご招待
 内  容  朝鮮王朝(1392~1910)の5百余年の歴史は、1592~1598年の豊臣秀吉の侵略を境とし   て、その前期と後期とに分けることができます。
   朝鮮王朝の対日関係は、その前期は室町幕府と、その後期は江戸幕府と交隣関係を結び ました。朝鮮の対中および対日外交は、朝鮮の平和と安全の二つの柱でした。これらの外交  を礼曹が担当したように、中国皇帝にたいする「事大の礼」、日本征夷大将軍(日本国王また  は日本国大君)にたいする「対等の礼」(伉礼)による交わりです。明治初期の「征韓論」は、日 本側の「伉礼」の否定がその起因になっています。

 ※講師肩書は開催当時のものです。


 講座名称   第103回 高麗美術館研究講座
 タイトル   「朝鮮通信使が残した史蹟と遺品」
 講  師   貫井 正之 先生 (名古屋外国語大学講師)
 日  時  2007年8月25日(土)/午後1時~2時30分
 会  場  佛教大学四条センター
 京都市下京区四条烏丸 京都三井ビルディング4階
 ℡:075-231-8004
  受講料  受講料:1,000円 高麗美術館会員はご招待
 内  容  朝鮮通信使一行は、日本各地に多くの足跡を残しました。その足跡は彼らの通った往還路 に注目され勝ちですが、今回は道筋から遠く離れた史蹟を紹介します。中山道大湫宿(岐阜県 瑞浪市)の「趙珩 筆板刻漢詩文」、伊勢白子港(三重県鈴鹿市)の「朴徳源 肉筆墨書」等新出 扁額から使節研究の新側面を探りたいと思います。

 ※講師肩書は開催当時のものです。


 講座名称   第104回 高麗美術館研究講座
 タイトル   「朝鮮通信使と筆談唱酬」
 講  師   李 元 植 先生 (元近畿大学教授)
 日  時  2007年11月24日(土)/午後1時~2時30分
 会  場  佛教大学四条センター
 京都市下京区四条烏丸 京都三井ビルディング4階
 ℡:075-231-8004
  受講料  受講料:1,000円 高麗美術館会員はご招待
 内  容  朝鮮通信使の訪日における日本文人との文化的接触-筆談唱酬は、両国の文化交流に  重要な役目を果たしました。
   朝鮮通信使とかかわりの深い日本の代表的文人として、林羅山と新井白石を取りあげるこ とにしました。
   林羅山は、1605年講和使僧として上洛した松雲大師と面接、第1回目の朝鮮使節から第6  回に至るまで華々しい交流をし、明暦度の「扶桑壮遊一百五十韻」和韻は有名です。
   新井白石は、史書に精通し、儒学者としての識見を備え、朝鮮使節との応酬において、「陶 情詩集」、「白石詩草」に寄せられた朝鮮使節の序跋、「江関筆談」、「折たく柴の記」を中心   に、その交歓もようをさぐることにします。

 ※講師肩書は開催当時のものです。


 講座名称   第105回 高麗美術館研究講座
 タイトル   「画人の交流」
 講  師   黒川 修一 先生 (京都造形芸術大学准教授)
 日  時  2008年2月23日(土)/午後1時~2時30分
 会  場  佛教大学四条センター
 京都市下京区四条烏丸 京都三井ビルディング4階
 ℡:075-231-8004
  受講料  受講料:1,000円 高麗美術館会員はご招待
 内  容  朝鮮通信使には、「画員」として秀れた画人が参加していました。当時の日本の画人達は、 彼らと交流することを強く望んだことと思うのですが、儒学者同士の交流と比べると、知られて いる例はあまり多くはありません。しかし、そうした中で、寛延年度の画員・李聖麟と、大坂(江 戸時代には“阪”ではなく“坂”を用いた)の市井の老画家・大岡春卜との交わりは、まさに絵筆 による筆談とも言うべき雅遊でした。今回は、若冲の師とも伝えられる春卜と李聖麟との交流 を中心にして、画人同士の交流についてお話ししてみたいと思っております。

 ※講師肩書は開催当時のものです。