2008年度 高麗美術館研究講座高麗美術館開館20周年記念特別講座「高松塚と朝鮮」

 高麗美術館は、朝鮮の文化財を専門に所蔵・展示する機関として開館し、今年、20周年を迎えます。これを記念して、本年度は古代日本と朝鮮との関係が色濃く残る奈良の地に目を向け、なかでも7世紀末から8世紀にかけて築造された高松塚古墳に焦点を当てた講座を開催いたします。

 朝鮮半島から渡来した人々が多く居住したとされる奈良県明日香村にある同古墳が、国特別史跡に指定されてから35年。改めてこの古墳が持つ歴史的意義を振り返り、そこから読み取れる様々な見解について考察します。

 皆様のご参加をお待ちしています。

 講座名称   第109回 高麗美術館研究講座(終了しました)
 タイトル   高松塚古墳の図像と被葬者像
 講  師   千田 稔 先生(奈良県立図書情報館館長、立命館大学客員教授)
 日  時   2009年2月28日(土)/午後1時~2時30分
 内  容  高松塚古墳の被葬者の一つの決め手は官位を示す、蓋(きぬがさ)の深緑色です。高松塚古墳の年代が大宝令適用可能の時代なのか、それ以前の浄御原令の時代なのかによって、被葬者は異なります。しかし浄御原令の実体は不明です。



 講座名称   第108回 高麗美術館研究講座(終了しました)
 タイトル   高松塚と『日本のなかの朝鮮文化』
 講  師   上田 正昭 先生(京都大学名誉教授・高麗美術館館長)
 日  時   2008年11月22日(土)/午後1時~2時30分
 内  容  季刊雑誌『日本のなかの朝鮮文化』の創刊号が発行されたのは、一九六九年の三月二十五日であった。爾来50号までつづくが、竹内好さんが「日本的でもっとも革命的な雑誌」と評価されたように、日本のなかの朝鮮文化の実相をつぎつぎに明らかにしていった。
 一九七二年の三月二十一日、奈良県明日香村の高松塚古墳から、あの見事な壁画古墳が検出されて、唐とのつながりばかりでなく、高句麗の壁画古墳との関係が改めて問題となった。そして『日本のなかの朝鮮文化』の先駆的役割が脚光をあびることになる。





 講座名称   第107回 高麗美術館研究講座(終了しました)
 タイトル   「中国・朝鮮と日本の壁画古墳」
 講  師   河上 邦彦 先生(神戸山手大学教授)
 日  時   2008年8月23日(土)/午後1時~2時30分
 内  容  日本の壁画古墳は高松塚古墳とキトラ古墳のわずか2例しかありません。したがってその比較研究は中国・朝鮮の壁画と行われ、その類似点を指摘されてきたに過ぎません。日本の壁画は石室の解体や壁画の剥ぎ取り等で、より観察が可能になった状況下で製作方法・顔料・描画技法等が明らかになっていており、中国等の壁画の内容を見ながら日本の古墳壁画との違いを述べ、その差が何によるものなのかを考えようと思います。



 講座名称   第106回 高麗美術館研究講座(終了しました)
 タイトル   「高松塚は異文化のモニュメント」
 講  師   猪熊 兼勝 先生(奈良文化財研究所名誉研究員)
 日  時   2008年5月24日(土)/午後1時~2時30分
 内  容  8世紀はじめ、日本は統一新羅を通して東アジアの文化を受容した。四神像に囲まれ、星宿に守られた高松塚の被葬者は、飛鳥の王権に近い人物であった。唐や高句麗の壁画古墳と対比しながら、国際都市・飛鳥を語りたい。



*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*


2008年度 高麗美術館研究講座 年間スケジュール


 5月24日(土)/午後1時~2時30分(済)   「高松塚は異文化のモニュメント」
  猪熊 兼勝 先生(奈良文化財研究所名誉研究員)
 8月23日(土)/午後1時~2時30分(済)   「中国・朝鮮と日本の壁画古墳」
  河上 邦彦 先生(神戸山手大学教授)
 11月22日(土)/午後1時~2時30分(済)   「高松塚と『日本のなかの朝鮮文化』」
  上田 正昭 先生(京都大学名誉教授・高麗美術館館長)
 2009年2月28日(土)/午後1時~2時30分(済)   「高松塚古墳の図像と被葬者像」
  千田 稔 先生(立命館大学大学院客員教授、奈良県立図書情報館館長)