青花雲龍文壺 18世紀
開催にあたって
朝鮮時代は1392年から1910年までの王朝である。およそ一貫して、倹約を美徳とする風潮の強い社会であった。それを如実に表しているのが白磁の隆盛である。朝鮮の王朝を通して、それは連綿と焼かれ、やがて時代が下がるにつれ、人々の生活容器として使用されるようになった。それとともに「もてなしの器」としての役割を担っていたのが青花である。この二種のやきものはまさに朝鮮時代の文化の象徴といえるであろう。秋の企画展では、それらを通して、朝鮮美術の特色と文化・歴史の一端を感じていただきたい。
開館情報
■会 期 |
2004年10月1日(金)~12月23日(木) |
■開館時間 |
午前10時~午後5時 ※入館は午後4時30分まで |
■休館日 |
毎週月曜日、但し祝日と重なる場合は翌日休館。 |
■入館料 |
一般500(400)円、大高生400(320)円、小中生300(240)円
( )内は20名以上でご来館の団体割引料金です。
また、事前のご予約にて団体解説も承っております。
詳しくは高麗美術館(電話075-491-1192)まで。
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■出展品総数 |
館蔵品のなかから約50点 |
主な出品紹介
白磁耳杯 朝鮮時代15世紀 |
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かなり薄い地肌の耳杯である。このような耳杯には本来は正方形の皿が托として付随するものである(『世宗実録』「五礼・嘉礼序列」)。これは「盞」(平たい杯)であるが、15世紀前期、国王は玉製や金製の盞を用いていた。しかし世宗29(1447)年6月には、「禮曹に伝旨す、文昭・輝徳殿所用の銀器は今より白磁器を以て代となす」と命じている。それ以降、王宮において、こうした儀礼用の耳杯もまた銀器から白磁器に代わっていった。 |
青花草花文壺 朝鮮時代18世紀前半 |
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やや黄色みを帯びた器面の胴に、地上をあらわすかのように、コバルトの一界線が画かれ、秋草、稲穂、梅花枝などがその台地に生育する。蝶が舞う一方、口の縁に淡く添えられた雲は所々に漂い、何をめざすのか鳥が一気に飛び去ろうとする。これは四季ではなく、春と秋を画いた朝鮮時代の風土であろうか、詩情の漂う意匠である。製作地についてはなお検討を要するが、時期については、純白に近いカオリン質の高い胎土、器形、意匠からして18世紀初期まで上げることも考えられよう。 |
瑠璃地陽刻長生文双耳香炉 朝鮮時代19世紀 |
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火炉とも呼ばれているものである。高台底に陰刻の「甲」銘を持つ。「甲燔」という意味であろうか。陽刻で文様の輪郭を施し、毛彫り的な方法で文様の細部をあらわしたあと、背景となるところをコバルトで塗り尽くす。この技法はコバルトが豊富に手にはいることを条件とし、朝鮮時代では19世紀になってようやく可能となった。器面には竹、鶴、松、鹿、岩、雲そして霊芝を施している。すべて長生きを願う文様の類である。これは朝鮮時代後期を代表する作として名高い。 |