開館15周年記念2003年秋季特別展「きらりと光る―高麗美術館名品展」2003年10月3日(金)~12月23日(火)
 

青磁象嵌牡丹文扁壺 12世紀

開催にあたって

財団法人高麗美術館は今年で開館15周年を迎えます。 これまで企画展示を通して朝鮮半島のさまざまな美術文化財を紹介することで、多くの方にその歴史や多国間とのつながりを感じていただこうと努めてまいりました。  このたびの特別展では過去の活動を振り返り、ご好評いただいた名品やこのたび初出品となる優品を出品し、朝鮮・韓国の生みだした文化の一端を感じていただく機会となるものと願っております。  今展では前期・後期の二期に分け、陶磁器、書画、仏教美術、考古資料など総数120件を出展します。  皆様のご来館をこころよりお待ち申し上げます。

開館情報

 ■会 期    前期:10月3日(金)~11月9日(日)、後期:11月14日(金)~12月23日(火)
 ■開館時間   午前10時~午後5時  ※入館は午後4時30分まで
 ■休館日   毎週月曜日、但し祝日と重なる場合は翌日休館。  
 ■入館料   一般500(400)円、大高生400(320)円、小中生400(240)円

 (  )内は20名以上でご来館の団体割引料金です。
 また、事前のご予約にて団体解説も承っております。
 詳しくは高麗美術館(電話075-491-1192)まで。

 ■主な出展品  通期 ・多紐雷光文鏡(青銅器時代)
     ・青磁牡丹文扁壺(高麗時代12世紀)
     ・粉青鉄絵唐草文高脚杯(朝鮮時代15世紀)
     ・日月陽刻梅竹文硯 渭原紫石製(朝鮮時代19世紀)
 前期 ・龍虎図(16世紀)李楨筆
     ・冊架図(19世紀)※初出品
     ・青磁象嵌雲鶴文碗(12世紀)
     ・華角箱(19世紀)
 後期 ・山水図 二図一幅 権敦仁・金正喜 筆(19世紀)
     ・青磁陽刻竹節文筒形碗(12世紀)
     ・青花雲龍文壺(18世紀)
 ■出展品数  約120点(1階・2階) 

関連イベント

●開館15周年記念企画 『お話しと朝鮮音楽のひととき』

高麗美術館開館15周年記念企画『お話しと朝鮮音楽のひととき』は
2003年10月12日(日)、満場の来館者を迎え盛況のうちに終了いたしました。
たくさんのお申し込み、ご来館、まことにありがとうございました。

 ■お話し: 上田 正昭 高麗美術館館長 (京都大学名誉教授) 「高麗美術館と私-開館15周年を迎えて」
 
■音楽演奏:金剛山歌劇団 器楽部

尹慧瓊(ユンヘギョン)
ソヘグム … 朝鮮の弦楽器。弦が四本ある胡弓の一種。  
河栄守(ハヨンス)
チャンゴ … 朝鮮の伝統的な打楽器。杖鼓。
姜年浩(カンヨノ)
チョッテ … 竹製の横笛。低く深みのある音色。
金栄実(キムヨンシル)
カヤグム … 21弦からなる朝鮮固有の琴。伽耶琴。

【演目】
(『春香伝』より「恋民歌(愛の歌)」) ほか
(「銀河と鳳凰」)
(「アンタン散調」)

主な出品紹介

龍虎図 / 双幅 李楨 筆  朝鮮時代 16世紀 絹本墨画 各幅116.0×75.5(㎝)
 
   龍は激しく、渦巻く雲が画面中央に迫る。虎は松岩の下で猛々しく牙をむき、臨場感を与えている。龍虎図は中国・南宋に広く流行し、朝鮮では高麗末から盛んに描かれた。  龍図の右端中央には「懶翁」との落款があり、下部には朱文方印がみられる。また虎図に落款はないが、龍図と同じ朱文方印が認められることから、絹本に水墨のみで描きだされたこの二図は、朝鮮中期に活動した李楨(1578~1607)の作と伝わる。  李楨の祖先は李上佐、父は李崇孝。また父母以上に親しかった叔父・李興孝は彼の画風に直に影響を与えた。宮廷に仕える画院画家の家系である李楨は、朝鮮南宋画の先駆的存在として知られる非凡な才能の持ち主であった。また、30歳で夭折した彼は揮毫することが少なかったため、現在遺例はあまり残っていない。  鄭詔文氏蔵となる以前の伝来については不明だが、徳川幕府の御用絵師であった狩野探幽(1602~1674)が、旧岩国藩吉川家旧蔵のこの龍虎図と接した際、南宋末の陳容(号は所翁)筆の龍虎図とこれを結びつけ、さらに李楨作であることを言及した史実が伝わる。現存する陳容筆の龍図とこの二図は、様式や構図に類似した点が見出される。若き李楨が何に影響を受け、いかなる解釈でもって自己の内面性を表現していたのか、この龍虎図に示されている。


冊架図(19世紀)※初出品



青磁象嵌雲鶴文碗(12世紀)



<山水図 二図一幅 権敦仁・金正喜 筆(19世紀)



青磁陽刻竹節文筒形碗(12世紀)